【子ども出店者保護者・ボランティア / 岩本真弓さん】全てがうまくいくことだけが成功ではない。次に繋がる成功。

全てがうまくいくことだけが成功ではない。次に繋がる成功。

子ども出店者保護者・ボランティア 岩本真弓さん

高1の男の子、中1の女の子のお母さん。

結婚後青葉区に住み始め、数年都内に住んだ後、子育てのしやすい青葉区に定住。子供が通っていた幼稚園の「みんな違ってみんないい」という方針に共感。

子供の卒園を機に資格を活かし、同幼稚園の先生として現在も多くの子どもたちと関わっている。

(2020年12月時点)


親子それぞれ違った場所で

主催の鈴木さんの息子さんと下の娘が幼稚園から中学までずっと一緒で幼馴染です。チッチェーノ・チッタの構想を伺い、当時5年生の娘が、自信はないがやってみたい、ということに。他の幼馴染のお姉さんたちと一緒にお花屋さんとして参加することになりました。
イベント当日のボランティアが足りないということで、私もハローワークのお手伝いしました。

幼馴染と一緒にお花屋さんに

娘はお店の準備のため、お仕事研修や商品企画など前もって活動していましたが、私はそれにはノータッチでした。親は活動を見ていない分、「今日はこんな感じで話していたんだよ」、「こんなことも子どもたちで考えてできるんだよ」、といった様子を教えてもらえました。
子ども会議では基本的に主催側もあまり口を出さないでいてくれていたようで、ここはフォローを入れた方がいいかな、という時だけ最小限の手助けをし、自分たちで気づいた問題点を子どもたちだけで話し合うというように、子ども主体で進めたそうです。

​お花屋さんは6年生が2人、5年生の娘、3年生が1人の4人チーム。商品を考え、話し合ったことをノートにとったメモを見せてくれたり、商品の値段を決めるときには使ったこともないインターネットで相場を調べたり、色んな事をやっているんだな、と思って見ていました。
割とチームのお姉さん2人についていっている形が多かったようなので、「その中で何かあなたやったの?」と聞いたら、「こんな意見を出してみた」と言っていたので、「あぁ、ちゃんとまざってやっているんだな」と、うれしく思いました。

一度で終わらない、続けることで見えること

第一回目の開催後、ちょっと自信がついたのかもしれないですね。
実際働いている姿やお店のメンバーとの話し合いを私は直接見てはいませんが、子どもたちはそれぞれ役割分担が自然とできていたと後で聞きました。
うちの子は周りをよく見ていると言ってもらえ、自分より小さな子どもがお仕事体験に来た時も、その子たちが困っていたら気づき、助けてあげることができていたそうです。それは親である私にとっては娘の新しい発見でした。

​第二回目は前回一緒に参加したお姉さんたちが卒業してしまっていたため、お友達を誘って、前回楽しかったお花屋さんをもう一度やるつもりでした。
お姉さんたちが抜け、一番勝手知ったるは自分という環境になり、娘が中心となって動くようになったのを見て、変わったなと思い、私も当日を楽しみにしていました。なので、開催が延期になってしまい、残念です。

赤字は自分のお小遣いで補うの?!

第一回チッチェーノ・チッタの後、娘は「かながわ子ども合衆国」のイベントでパン屋さんにも挑戦しました。自分たちで商品を企画し、地域のパン屋さんと試作を重ね、地元産食材のカレーパンを売りました。ですが、結果は用意した200個のうち70個が売れ残ってしまいまいました。

事前に原価計算はしていたものの、売れ残るというのは誤算だったようで、終了後の反省会でこれだけ材料費がかかり、利益はこれだけで、これだけ損が出ているんだよ、と改めて聞くと売れ残った商品があるということは、こんなにの損が出るということに娘はすごく驚いていました。

しかし、その損したお金はどうするのかというところまではピンと来ていないようだったので、「それは自分のお小遣いで払わないといけないんじゃないの?自分たちでやったことなんだから損がでたらそれは自分たちで何とかしないといけない事なんだよ。」と私が言うと、自分事としてリアルにお金を感じ、「そうなんだ…。」と改めてびっくりしていました。

​お花屋さんの時には利益が出て、自分たちの稼いだお金で食材を買って打ち上げもしたので、「商売をするのはお金も儲かって楽しいんだ」という感覚で終わったんだと思います。でも、実際はいつもそうはいかないよ、というところをすごく学んだと思います。
こんな風に失敗を経験させてもらえたことに、とても感謝しています。

あまりに売れ残っているところを実際目にした時には、私も驚き、親としては手を出しかけましたが、「子どもたちがやるから大丈夫だよ」と言われ、「どうしたらいいか考えてごらん」、「ここにお客さんがいないなら、自分たちが出ていくというのもありだよ」と子どもたちの主体性に働きかけてもらえました。売れないからと、親が10個買うよとフォローしてはいけないんだ、と気づかされました。会話のなかでさりげなく、主催側からそうゆうことを親にも伝えてもらえるので、「あぁ、そうだった」と私も出しかけた手を引っ込めることができました。

こうゆう一大イベントは成功させなければいけないと思い込んでいました。
すべてがうまくいったという意味での成功ではなくても、次への課題がたくさん出てくるのも、学びという観点では次に繋がる成功なんだなと思いました。

​(※実際は赤字はチッチェーノ・チッタの街の税金から補填されました。必ず返すように、と子どもは課題を出されているそうです。)

子どもの気持ちに寄り添うハローワーク

イベント当日、私はお仕事体験に来てくれた子どもたちが最初に向かうハローワークを担当しました。色んな年齢層の子がドキドキしながら仕事を決めに来るので、子どもに寄り添いたいという気持ちでした。子どもたちの色んな顔が見え、かわいかったですね。

事前に話し合いを重ねて挑んだのですが、当日はバタバタで反省点が多々ありました。お仕事体験の枠も限られており、希望した仕事ができないということがでてきてしまいました。長蛇の列ができてしまっていたため、子どもがあまり知らない仕事について十分に時間をとって説明してあげることができませんでした。次回は並んでいる間に仕事を理解してもらえる工夫をし、スムーズに予約ができるようにしたいです。

誰でもチッチェーノ・チッタの市民になれる!

ハローワークの仕事が終わり、終盤に初めて子ども店舗を見に行くと、売れ残りを売り歩いたり、値段を下げてみたりと色々工夫している子どもたちの姿を目にしました。子どもたちは当日やってみるまでは思いもしなかったことに沢山直面し、必要に迫られて、「じゃぁこうしよう」と話し合って対応しているところが印象的でした。すごく小さな子がいろんな種類の商品をトレーにいっぱい載せて、「どうですか?」と売り歩いている姿は、可愛すぎて思わず買ってしまうということもありました。

​普段、自分からあまり積極的に手を挙げない子でも、興味があれば是非背中を押してあげて、チッチェーノ・チッタに参加してほしいと思います。

子ども同士で考え街を動かすというのはとても楽しいようです。
ときにはいろんな失敗もあるかもしれません。ちょっとけんかになったり、それもまた子どもたちで乗り越えたり、最後は充実した気持ちになるようです。
終わった時の笑顔や、やっているときの楽しそうな姿が印象的で、いろんな子に参加してほしいと思います。